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初めて映像作品を作ってみようと思った方へ
ここでは、初めて自力で映像作品の製作に
乗り出そうと思われた方を対象として、
作家が製作前に心に留めておいてほしいと
思われる意見をまとめてみました。
自主製作による映像作品は実に幅が広く、
その製作意図や目的も個々に異なりますが、
実写映像による劇映像作品を製作される方に的を絞り、
上を目指すステップとして初めて映像を作られる方が、
処女作に臨む心得を中心にまとめてあります。
2作目、あるいはプロ製作では
作家の心得は大きく変わりますし、
作品によってはこう言った意見が
適応しないものもありますので、
これはHow-toやManualではなく、
あくまで一意見としてお読みいただければ幸いです。
1:「才能」と言う自信
まず第一に、「自分には才能がない」とか、
「誰かに才能を評価してもらいたい」と思う方は、
自分で作品を作ろうなどと思わず、
誰かが面白い作品を発表するのを待ちましょう。
「自分には才能がある」
思い上がりでも、勘違いでもいいのです。
「才能」とは、
あると思っている人だけが持てるものなのですから。
映像作品を作る場合は、
人生経験が豊富な人ほど知識も経験も技術も
上と考えられますから、
若い人、初めての人が達人に挑むには、
何かしらの武器が必要になります。
プロとアマチュアでは予算・人材・機材・技術など、
その差がはっきり出るものと、
アイディア・脚本・演出・視覚効果・音響効果など、
考え方によってはそれほど差のない部分があります。
何を武器にして、どう言った優位性を
作品に盛り込むかを明確にすれば、
プロを唸らせる作品になる可能性があるのです。
それにはまず、自分がどう言ったタイプの作家であるか、
1,感性に任せた成り行きの映像
2,アイディアを盛り込んだ意外な作品
3,地道な努力が作り出す感動の世界
など、自分のスタイルを認識することが必要です。
次に、自分がどう言ったポジションにいて、
次に狙うべきステップが何処なのかを見極め、
自分なりの明確な「切り口」を持って作品製作に当たる事。
いきなり頂点を見ても挫折は目に見えていますし、
もしそれをつかんだとしても、実力が伴わなければ
末路は知れています。
実力を身につけて、名を売り、
名前が売れたら、それに見合う実力を得るために努力する。
着実にステップアップすることが
結局目的達成への近道なのかも知れません。
こう言った作業の根幹には「自分はできる」と言う
自信が必要です。
だから「自分には才能がある」
そう思うことが初めの一歩なのです。
2:笑われる覚悟を
作家にとって「作品」とは、
自分の考えや、自分の過去が反映される「自分自身」です。
自分を笑われることが怖い方は、
自分で作品を作ろうなどと思わず、
観る側に徹して笑う方に回るべきです。
作品が評価されたときの喜びを味わうことは出来ませんが、
少なくとも、笑われたり嫌な思いはしなくて済みます。
作家が作品を作るときは、
「自分自身が大勢の観衆の前に立っている」
と言う気構えが必要です。
見栄を張ったり、格好をつけようとすると、
すべて完成した作品の中に見えてしまいます。
作品には自分自身をありのままにぶつけましょう。
また、作品製作にどれだけ苦労しても、
評価は完成した作品だけを観て下されます。
作品の出来が悪ければ笑われ損だと言うことを
予め心しておく必要があります。
ただし、過度に臆病になる必要はありません。
一流のフィルムでも貶す人は貶しますから。
3:協力者には頼らない
実写による劇映像の中には、
一人で作って成立する作品もありますが、
たいていの場合、
広がりのある世界は描きにくいと思われます。
役者・スタッフの協力なしには
成り立たないものと心得るべきです。
協力者を探す場合、経験が豊富・技術が優れると言った
理由で協力者を探すべきではないと考えます。
名の売れている役者さんが協力してくれたとしても
役者の個性が強ければ作家性が影を潜めるし、
場合によっては役者の名前に傷を付けかねません。
自分以上に経験豊富なスタッフは
好意からとは言え、作家の考えた進行を妨げたり、
演出を変えてしまったりする可能性も考えられます。
それでは作家(監督)としての威信にも関わるし、
作家性・独創性が失われることにもつながります。
そうならないためには、
自分が上の立場に立って、「協力者を使う」
と言うスタンスが望める協力者を探すことです。
それではクオリティが落ちると考える方もいると思いますが、
上を目指す「足掛かり」を作るなら、
多少低いクオリティでも、光る作家性を盛り込んだ方が
結果的に成功と言えるはずです。
より良い協力者と組みたいと望むなら、
まず自分のレベルアップを図ることが
必要になるのかも知れません。
4:自分の知識レベルで
初めて製作に臨まれる方にありがちなのが、
「自分は初めてなので、周りは達者な人で固めたい」
と言う考えに捕われることです。
商用作品の新人監督の場合は必然かも知れませんが、
自主製作作品の場合、自分が好きなように作れることが
メリットだと言うことを忘れないようにすべきです。
背伸びをせず、自分の見聞きした情報・体験・技術の枠内で
ストーリーを描き、環境を整え、人を動かして、
自分なりの作品を完成させましょう。
初めてだからこそ、
自分がやりたいようにできるメンバーを
揃えることが大切と考えます。
そして、すべてのステップを
自分の考えで推進することをお勧めします。
最後に、工程ごとの心構えを記します。
構想(ディべロプメント)
自分が考えたストーリーを詳細まで煮詰め、
それを作るのに必要な人材・機材・費用・期間と、
出来たものを活かす方法を考えます。
この段階で、ストーリーがダブる作品がないか検証し、
類する作品を多数観て、モチーフになる作品があれば
表現方法を研究してカメラワークの参考にしましょう。
ものまねで終わるか、そこから自分なりの表現手法を
確立できるかは作家次第です。
これは、人に聞かず作家自身がやることに
意味のある作業です。
準備(プリプロダクション)
考えたビジョンを撮影するためには、
実際どう撮ればいいかを自分なりに考えます。
自分がこれまでに体験してきたこと、現在持っている情報、
体力や手先の器用さと言った技術力を総動員して、
自分なりの撮影方法を確立します。
もちろん人から見て、でたらめや遠回りでも構わないのです。
それも作家性であり、独創性なのですから。
プロに聞けば効率の良い的確なアドバイスも
得られると思いますが、
それではプロ真似で終わってしまいます。
楽をしようと思うなら作らないことです。
効率が悪くても自分のやり方で進めてください。
機材も可能な限り自分の知識レベルで扱えるものを
買うか借りるかで用意します。
高価なカタログデータの優れた機材だから
いい作品が作れると言うわけではないのです。
扱えなければ猫に小判です。
逆に、製作前に使いたいフォーマットを熟知する
努力が必要とも言えます。
また、ロケーションの選定も自分の生活圏や
行ったことのある場所にすることを勧めます。
土地鑑があれば撮影時に自由に立ち回れます。
知らない場所ではどんなトラブルで撮影が中断するか
予測がつきにくいだけでなく、移動に手間取ったり
交通費がかさむと言ったデメリットも考えられます。
たとえイメージどおりでなかったとしても身近な場所。
見慣れない壮大なロケーションは、
プロになってからでもいいと思います。
セット、衣裳、プロップ(小道具)なども
自分なりに工夫すべきと考えます。
特に特殊効果などは腕の見せ所と言えそうです。
あとは、しっかりとしたレールを敷いて、
撮影時に間誤付くことがないように
抜かりなく準備しておくことが大切であると考えます。
撮影(プロダクション)
撮影は敷いたレールの上を一気に駆け抜ける作業です。
迷っている時間はありません。
プリプロが不十分で撮影がしばしば中断してしまうと、
日中の撮影であれば太陽がどんどん傾くし、
バッテリーの消耗や人の疲労も多くなります。
10人のチームで5分のタイムロスは、
50分のロスに等しいと心得ましょう。
「撮影時、準備はテキパキ、演技はゆったり」です。
最悪の場合、予定の期間で終わらなかったり、
協力者が降りると言った事態にもなりかねません。
撮影を開始しておきながら完成にいたらない原因は、
こう言った見通しの甘さが最も多いと言えます。
また、プロダクション(製作チーム)によってですが、
最低限、アゴアシ(食事代・交通費)は、
作家が負担するのが協力者に対するマナーではないかと
提言しておきます。
編集(ポストプロダクション)
DVであれば安価なPCで作業できるので
作家が思い通りにテストを繰り返せます。
妥協せず、納得いくまでつなぎや効果を試して
意図したものに近づけるように
できる限りの時間を割きましょう。
上映(スクリーニング)応募(コンペティション)
持ち込み・販売・レンタル
完成した作品が、納得のいく出来だと判断したら、
どんどん人に観てもらいましょう。
評価されれば次のステップが待っています。
ただし、関係者や親しい人に見せて不評だったり、
自分なりに納得のいかない作品になってしまった場合、
作品の一般公開は控えることをお勧めします。
名前に悪い印象を持たれるのは得策ではありません。
反省点は今後の課題として、
さっさと次の作品に取り掛かることをお勧めします。
初めての作品が失敗作だったとしても
落ち込む必要はありません。何度でも挑戦を続けましょう。
「あなたには才能があるのですから」
2008年度版 監修:伊澤隆司 製作:彩倫
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